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MOTORHEAD! IN FLAMES! [音楽と趣味]

11月11日(土) 曇り、突風(Galeと呼ぶ)
 今日は休戦記念日Armistice Day。終戦でなくて休戦なのは第一次大戦の終わった日だから。ちなみに8月15日は対日戦争勝利記念日VJ=Victory for Japan dayである。ヨーロッパ戦線は5月に終わっているからね。11時に黙祷があって、銀行に居たのだが突然全員凍っているので銀行強盗でも現れたかと思った(笑)。

 今日はMotorheadとIn Flamesと再結成Girlschoolという、知らない人には全くどうでもいいが知っている日本人が聞けば狂喜乱舞しそうな(ややミスマッチではあるが)組み合わせのショウを見に行ってきた。In Flamesにとってはこれが意外にも初の英国ツアーになるらしい。日本や米国ではヘッドライナーツアーをこなす強豪だが、おそらく英国は人気の有無ではなく、単独ではコストがかかるすぎるのだろう。チケットは2階席で21.5ポンド(4300円)。ちなみに同じ会場で、来年1月にアイリッシュ・ダンスのLord Of The Danceを前から16列目くらいのど真ん中で観る予定だが、このチケットが32.5ポンド(7500円)。12月末にロンドンで最前列(!!)で観るLion Kingは42.5ポンド(8500円)。貧乏暮らしには決して安くはない額だが、日本でステージからはるかに遠い席に倍近い値段を払っていたことを考えると少し幸せな気分になる。


 会場はNewcastle City Hall、この組み合わせなのにアリーナではありません(キャパだけで言えば大阪ならクラブ・クアトロが2階建てになった程度)。ステージにパイプオルガンとひな壇が常設され、バルコニーの張り出す伝統あるホールで、1960年代にボブ・ディランが来た時の映像も先日BBCで見た。全く変わっていない。


 オープニングは再結成Girlschoolだ。Motorheadの妹分バンドとして1980年代初頭の英国へヴィメタル・ブームNew Wave Of British Heavy Metalのさなかに登場。おそらくは世界で初めてに近い「女の子バンド」であることは、もっと知られてもいいと思うのだが。今や「おばちゃんバンド」だが、その元気ぶりは健在。新加入のギターを除いて演奏は(恐らく往年と同様に)あぶなっかしかったが(ツーバスになると急に加速するんやもんドラマーが)、Motorheadの古くからのファンなら必ず知っているバンドだから、観客も温かかった。30分くらいのステージだが、なかなか楽しめた。ラストはもちろん"999-Emergency!!"の大合唱。まさかこの曲を生で聴ける日が来るとは思っていなかった(感涙)。


 In Flames(公式サイトはこちら)。スウェーデンのバンドで、当初はデスメタル系でスタートするも、途中から耽美的な「重く、速く、美しい」に路線変更。現代の欧州正統派へヴィメタルを代表するバンドに成長し、日本でもファンは多い。その路線変更後の評判は知っていたが、個人的にはかつてのデス系のイメージが強くて(あと、自分で演奏をするようになって趣向が少し変わったこともあって:後述)、あまり興味を持って聞いたことがなかった。
 で、どうだったかというと、「安心して聞けるへヴィメタル」という感じ。ドラマーはサポートメンバー(正ドラマーが「二人目の子供が生まれるため」に欠席らしい。さすが北欧!)だが、演奏は今日の3バンドの中で最もタイトだし、リフも分かりやすいし長年メタルを聴いてきた人間には「やりたいこと」がよく分かる。観客のMotorhead目当てのおっさんおばちゃんたちにもそれなりにアピールしていたと思う。ただ、アルバムはともかく、ライブの面でのアピールする個性はあまりないかな、と。まあヘッドライナーならもっといろいろやれるだろうし、またこれが現代流なのかもしれないが。ちなみにTamaは前列の四人がアタマを振るさまを「連獅子」と評した(笑)。1時間のショウだが、ドラムセットや背景Backdropは自分たちのモノを使用。Motorheadの若手(というにはキャリアが長いが)に自由度を認める姿勢が感じられる。


 そしてMotorheadだ(正しいバンド名は二つ目のoにウムラウト、つまりMotörhead)。1975年デビュー、今回のツアーは30周年記念という位置づけ。30年間、ハードロック/へヴィメタルの苦しい時期も絶頂期も、変わらないスタイルで駆け抜けてきた伝説的トリオ。メンバーは時々変わっているが、それでもギターのフィル・キャンベルは21年目(!)だという。ドラムスのMickey Deeは北欧人で他のメンバーよりは若いが、それでもシーンで数多くのバンドを支えてきたツワモノ。


 でも、Motorheadはこのヒゲ面オヤジ、レミーLemmy Kilmisterなくしては始まらない。1960年代、ヒッピーカルチャーの中のバンドHAWKWINDに在籍するも、麻薬のトラブルから解雇。英国に帰りMotorheadを結成。デカいリッケンバッカーのベースを異常なくらいひずんだ音でかき鳴らし、やや上を向いてダミ声で歌うスタイルは誰もが知っている。パンク全盛の時代の苦難を乗り越え、1981年にはライブアルバム"No Sleep 'Til Hammersmith"が、メタル・バンドとしては空前絶後の全英1位を獲得。英国では良くも悪くもみんなが知っている爆走オヤジで、未だにテレビでその生き方の特集が組まれたりCMに出演したりと60の声を聞く今でも引っ張りだこ。家を持たずツアーバスとホテル暮らしを続けるヒッピースタイル、ステージでは"FxxK"を連発して政治屋たちを批判する痛快野郎でありながら猛烈な読書家で意外と知的な一面をもつこと、若手のバンドたちを発掘したり育てたりするゴッドファザー的な包容力、そして何より圧倒的な迫力で迫る爆走型ロックン・ロール。そういったものが今でも絶大な支持を集め、特に世界中のライダースには神様のように慕われている。ここNewcastleでも若い頃はハーレー乗ってました系カップクの良すぎるおっちゃんおばちゃんが山ほど集結。でも面白いことに、小学生・中学生も結構いるんですなこれが。



 Mickey Deeのドラムスは実に激しかった。金髪を振り乱し強烈にアピール。ライブは上手い下手だけではないことを実感させてくれる。In Flamesと組んだのは北欧人である彼の紹介かもしれないし、少なくともスウェーデン語で若手を盛り上げることくらいはしているだろう。(笑)存在は知っていたが、ここまで激しいドラマーだとは思わなかった。前任者のフィルシー"アニマル"テイラーも見たかったが、酒の飲みすぎと年齢のため脱退(解雇?引退?)したことを思えば、Mickeyの貢献は絶大。

 彼らの音楽について少し語ろう。あえて表現するなら爆走型ロックン・ロールで、ハードロックにもへヴィメタルにも分類して片付けることはできない。とくにヘヴィメタルは後からついてきたもので、彼らのあとを追ってきた連中がへヴィ・メタルになった、と言ってもいいくらいのもの。音楽的な影響がなくても、音楽シーンの流れとして、またファッションとして(黒、革、ライダースというメタルのイメージは、彼らとJudas Priestが作り上げたものだ)彼らの影響を受けていないと言えるものは皆無である。現代のヘヴィメタルにおける最重要バンド、METALLICAのドラマーであるラーズ・ウルリッヒ(偶然だが彼も北欧生まれのアメリカ人だ)がMotorheadのファンクラブを組織していたのはあまりにも有名な話である(が、マヨチンさんに指摘されるまで忘れとったがな。おおきに)。
 そういった独自性、そしてどこにもカテゴライズしきれない音楽だからこそ、30年も人気を保ち、やってこられたのだと痛感する。自分を例にとれば、メタル・ファンだった一少年が下手くそアマチュア・バンドで最初にやるのは、好きで聞いていた流行の(といってもそのころブームは終わりかけていて7,8年遅れだったが)メタル・チューンのコピーだった。しかし自分で曲を作り演奏をしようという無謀な世界に達した時、ふと気がつくと下を向いてきっちり弾くことを捨て、マイクを高く構えてベースをかき鳴らしていた。純粋なへヴィ・メタルだけのバンドをやるには力量不足だったことも理由だが、一つの枠内にとどまらない音楽性の、それでいてシンプルで分かりやすいバンドは、少なくとも個性の面では、ウケた。
 Motorheadとは例えば、そんな影響を世界中にまき散らしてきたバンドなのである。


 アコースティックをアンコールで(1曲だけ)やったりして年取ったなあと思わせることもないではなかったが、"IRONFIST""ACE OF SPADES""OVERKILL"と本編ラストから2回のアンコールまで観客は大合唱(というか大絶叫)。母国語で理解できている連中はいいなあ。サビしか歌えねーよ。もちろん"OVERKILL"のエンディングは1回ではなく3回である。最後はベースの音を出したままステージ上に放置し終了、これも長年のお約束。
 さすがにもう2度と生で見ることは出来ないだろう。今夜は生涯忘れえぬ夜となった。


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コメント 4

マヨチン

こんにちは! マヨチンと申します。
私のブログにコメントをありがとうございました。Newcastle在住の方だったのでびっくりしましたよ(笑)。

MOTORHEAD、IN FLAMES、GIRLSCHOOL… 濃い面子によるライヴを堪能されたようで羨ましいです。
特にMOTORHEADを彼らの母国で体験っていうのは貴重ですよね。きっと英国のメタルファンにとっても、彼らは誇りに思える存在なのではないでしょうか?METALLICAを始めとするスラッシュメタルの勃興に多大な影響を与えたバンドですから。
レミーは夏にちょっと体調を崩したようでしたが、もうすっかり元気になったみたいですね。

またちょくちょく覗かせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
by マヨチン (2005-11-13 03:09) 

KDN

Hiya!マヨチンさんは浦和レッズのサポなんですよね。
地元で応援できるチームがあるのが一番ですよ。
僕は父の故郷であるジュビロのファンですが
自分のホームタウンとしてはいま初めて応援すべきチームを持った気がします。
時々シアラー+オーウェン情報も書いてますので、よろしく(笑)

Motorheadはメタルファンに限定されない、この国でのロック文化の本流と言えると思います。ぜんぜんロック聞かない人でもMotorheadとレミーと”Ace of Spades"は知っていますからね!
近日Thunderが来る予定なので、妻を洗脳中です!
by KDN (2005-11-13 09:25) 

hog

はじめまして、こんにちは。
地元でのフルライブうらやましいですねぇ。
日本じゃ2000を最後に来日は`02、`07とフェスの短いライブだけ。寂しい限りです。
次の日本公演はないかもしれないので大阪、東京を追っかけで東名をカっ飛び往復しちゃいました。
流石に63暴走ジジイ、5年より、ちょっとお疲れがある様にも。
されども20代の新しいファンもいたりして、さすがmotorhead No1
R&Rバンド!
永ちゃんもいいが、MrR&Rはレミーに決まり!
by hog (2008-01-19 21:10) 

KDN

そうですね、永ちゃんも真っ青の質素なパンク親父ですもんね。
そんなに長生きもできないとは思いますが、頑張ってほしいものです。
by KDN (2008-03-09 01:31) 

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