SSブログ

大学の事務よ、地獄の業火に焼かれるが良い! [ヴィザ・留学・研究]

 1年を超える研究留学のVISAはよく問題になり、今回の私も渡航前からうんざりのし通しだったことは過去にも書いた。日本の大学から給与をもらっていたり、無給でもしがらみが強かったりすると1年で帰らなくてはならない場合も多いが、実験内容を積み上げてまとめるにはやや短く、今まで博士課程の学費を支払いつつ大学病院でただ働きさせられ実験は全て夜中に済ませていた典型的日本の大学病院医師D.にとっては、大学院卒業直後(つまり、一度も定給をもらったことがない)に渡航する今回の機会は自分のキャリアアップのためにも2年欲しいところであり、多忙な大学病院の先輩医師たちもこれを許してくれた(但し「必ず帰ってくること!」と敬愛する医局長にはクギを刺された。もちろんそのつもりである。臨床も好きですから)。

 さて、ここまでのヴィザの話をおさらいしておくと、
・1年間有効の一切就労できない研究者の相互訪問用ヴィザ:"Academic Visitor"=大学からの招請状だけでOK。ちなみにこのヴィザには今でも「研究が1年で終わらなかった場合の片づけ期間2ヶ月」は合法的に認められている。
・1年を超える滞在には無給であっても労働許可証が必要(Work Permit for Sponsered Researcher、略称SR1)。これは研究滞在先が申請しなくてはならない。このルールは以前からある。
・しかし数年前までは"Academic Visitor"ヴィザの1年間延長が(1回は)容易にできた。英国的規則と建前。
・ところが、この1年近くの間に情勢が変わり、延長が困難になってきているとの情報と、申請料の値上げ(一人5万円!)が行われた。
・そこでCleverだと評されるこの日本人(俺が言ったのではない、自分の必要なことを即刻情報を集めてオーガナイズしないと気が済まない性格~時に妻にはうっとうしがられる~を恩師が表した言葉だ。英国人たちは概してこの能力が低すぎる!)は渡航を遅らせてまで(飛行機のキャンセル料返せ!)事務にそれを要求した。
・しかし教授から帰ってきた返事は、「事務によれば、キミの滞在は無給なので労働許可証は不要で、こちらに来てから延長すればよいとのことだ」。「それはきちんと事務からレターで来ているのか?(注:この国ではヘッダーつきのレターに書かれた文言は法的拘束力に近い威力を発揮する!)」「特にレターで示されてはいない、が、大丈夫だ。早よ来ぃや(ジョーディ訛り!?)」
・そこまで言われては仕方ねぇ。この即日発行簡単ヴィザ(以前は到着した空港でも発給されたくらい簡単)で行きますわな。ということで予定より1ヶ月半遅れの5月25日、入国。

 こちらに渡航してからもいろいろ情報を集めているのだが、しかし、状況は良くない。
 "Academic Visitor"の延長に関しては身近にお一方成功した日本の先生がおられて、またいつも参考にさせて頂いているこちらの掲示板でも、実のところ特に失敗したという例はない。国としては無給の研究員なんてこれほどありがたいものは無いんだからね(実際、日本人だけらしい)。
 ところが、規則上はそれどころではなく、さらに厳しくなる一方なのだ。こちら(英文)は内務省のHPの一部だが、「これまではAcademic Visitorで入国した奴がそのままWork Permitを得て切り替えて滞在するのを認めていたが、2005年5月9日からはそれも許してやらねぇ。自分の国に帰ってヴィザを取り直して来ぃや!(コックニー!?)」とある。このビミョーな日付が不運と言えば不運だし、またクソ事務の言い訳の根拠にもなりうるのだが、つまり問題はもう既にAcademic Visitorヴィザを延長できるかどうかとかそういった低次元ではなく、SR1を取得して滞在したまま延長できるか、帰国して新規で別のヴィザにするかというレヴェルで話は進んでいるのである。

 そこで、何度か研究室の超有能秘書Sueを通じて事務にSR1が必要である旨を説明したところ、事務はやっと事態を理解したらしく(というのはおそらくウソで、彼らは知っていたに違いない。後述)、それではまあヴィザが切れるのに間に合うように申請しましょうかねぇ、と。先述の国内で延長or帰国して再申請の件については、ヴィザの期限が5月末まで(申請したのはまさにその5月9日頃だが)であるなら、まあ帰国して申請し直してもらわんといかんでしょうなあ、規則の変わり目でお気の毒ですが…だと。「コイツは申請したのが5月9日よりは前であるから、ひとつそのあたりをお含み頂き寛大なご配慮で国内で処理してやって欲しくて候」なんて一筆を啓上してもらうだけでこの国の新しい規則なんてのは簡単に覆るのだが、それすらしようという気配がない。もちろん自分が(意図的にせよ結果的にせよ)ウソを言ったことへの反省や謝罪の弁など0.0001マイクロリットルもない。
 念のために言っておくと、ここは小さな大学ではない。何万人という学生・留学生・研究者を抱える全英トップテンの国立大学である。しかも情報によれば他の大学は既に1年を超える無給研究員にはSR1を供給する方向に移行している大学が殆どであり、いくら鈍重な公務員とはいえ知らなかったとは言わせない。ではなぜ渋るのか?…面倒くさい仕事がイヤなのと、労働許可証申請料158ポンド。おそらく、この二つだけ。自分たちが招請レター1枚を書くだけで良い安易なAcademic Visitorヴィザで来させようという意図がそこに見え隠れする。

 事務に言いたいことはタイトルに書いたのでもう書かない。日本では全く腐りきった公立大学の事務にさんざんイヤな思いをさせられて来たが、英国でも次元は違えどどうやら同じような連中らしい。
 自分に確認しておきたいこと。それは自分の、そして日本人のプライド。俺は英国に移民するつもりはない。移民とまでいかなくとも、職を求めなくてはならない研究者でもなく、日本で恥ずかしくない仕事も資格も持つプロだ。それを一時休止してまで、研究に貢献できるようここに来ているのだ。半年とは思えないデータだって既に出しつつある。それでも最後まで俺を要らないと言うならば、いつでも帰ってやる。レミー風に、"Fxxk Off!!"と叫んで、な。(念のために言っておくと、これは一緒に仕事をしている仲間やボスについて言っているのではないからね。あくまで、大学の事務に、である)

 この顛末についてはまた書く。5月末がヴィザの期限、2ヶ月延長したとして7月末、7月の初旬に恩師がPresidentを務める学会がリスボンで開かれD.も発表するので、その後英国にこのヴィザのままでは再入国は困難と考えられる。日本に一時帰国するのも安くはないが、こちらでのヴィザ延長手続きが日本の英国大使館と比べてやたらと高額なのであまり変わらない(一旦帰国しろ、って御通達も言ってやがることだし)。夏のいい季節を無駄にしたくないので、学会の合間(来年は3月トロント・7月リスボン・9月神戸・11月クアラルンプール!)の5月末に帰ってやるか。甥っ子の顔も見たいしね。

 同様の立場の方の参考となりますように。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

どらとら

………。

ご健闘をお祈り申し上げます。
この国の大学の事務の怠慢さに関しては、言うべき言葉がみつかりません。
首尾よくビザがとれますように。
by どらとら (2005-11-17 22:42) 

KDN

全くでございます。
またこの結末については改めて報告いたしますです。
by KDN (2005-11-18 01:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。