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Metroに乗ろう [Newcastle upon Tyne]

 Newcastle市民の足、Metro。今日はその乗り方について講義させて頂きます。


 この路線図は運営会社のNEXUSのHPから無断で借用しております(クリックで元の大きさの画像が別ウィンドウで開きます)。ま、バレても会社の宣伝してるんだから、許してもらえるでしょう。ちなみにこの会社は第3セクターのようなもので、Newcastle近郊のMetro・近郊列車・バス・Tyne川を渡るフェリーを管轄。Metroは今年で開業25周年。昔は市電と近郊列車の併用だったが、市電の廃止と近郊列車の路線縮小の後を受けて、一部はその路線を転用しながら1980年に開業したのがこのMetroである。古くからの近郊列車の駅舎を転用したTynemouthやWhitley Bayはそれだけで見る価値アリ(Tynemouth駅では日曜日にマーケットが開かれにぎわう)。

 まずはどんな時に使うかという話から。市の中心部に買い物に行く時はとても便利。朝のラッシュ以外の渋滞は大したことないので車で中心部に入ること自体は問題ないが、駐車場代が高い。また中心部(Newcastle大学など)に仕事のある人は、Park&Rideで通勤する方が安くつき、また渋滞に悩まされない(とWashington在住の同僚は言う。近年の朝のラッシュは特にひどいらしい)。あとは、空港へのアクセス。これはもうMetroの独壇場。独壇場すぎて空港バスなどはない(笑)。最初に来た時にはタクシーになるだろうが、慣れてくるとやはりMetroである。
 問題になる治安だが、Tyne川の北側(地図参照、Central Stationから北)に関しては全く問題ない。ただし北側の川沿い、すなわちManorsからPercy Meinあたりは治安が良くないので、これらの駅を夜間に女性一人とか大きな荷物を持ってとかの利用はあまりおすすめできない。Gatesheadから南は駅によって異なる。いずれの場合でも、列車の中で危険を感じることはあまりない。
 運行時間は大阪あたりの地下鉄と同様だが、空港行きはやや終電が早い。また23時30分以降はSouth GosforthまたはPelaw止まりになる(車庫がある)ので、注意が必要である。空港ゆきの始発は平日が6時20分着であり、6時30分の始発の飛行機には間に合わないのでタクシーを薦める。また日曜日は英国の定例どおり始発は遅くなり、本数も減る(不便なほど少なくなることはない)。なお、クリスマスの日と元旦は全面運休。

 切符は券売機で。コインしか使えない。両替機のある駅もあるが、殆どが故障していて動いていたためしがない(苦笑)。改札などはないが、定期的に検札が回ってきたり、駅の出口で張っていたりするのでキセルはダメです。ただ乗りする若者は実は結構いるが、ばれると20ポンド(4000円)の罰金と、恥ずかしいことに捕まった駅名と名前がポスターまたは新聞で掲示されます。こういう不名誉はこの国では致命的。
 切符の種類は様々。図を見ていただくと分かるとおりZone1~3に分かれていて、自分のいる場所と行き先によって値段が変わるが、券売機にちゃんと何ゾーンの切符を買えば良いか貼ってあるので心配無用。ちなみに料金はZone 1の片道£1.30、平日の9時以前往復£2.00、それ以外の往復£1.60。Zone 1往復切符に限りその日何度でもZone 1内乗り降り可能(2006.1.~)。Zone 2はそれぞれ£1.90、£3.00、£2.50。Zone 3は£2.60、£4.00、£3.20。なぜZone 3が高いのかというと、空港行きを含んでいるという世界共通の事情(距離はあまりない)のほかに、Sunderlandから南の路線が大赤字だかららしい。このSouth Hyltonまでは経営不振で廃線になった近郊列車の線をそのまま引き継いでおり、将来的にはその線の走っていたNorth Hylton以遠への延伸も計画されているようだが、現状では到底困難な模様である。Pelawから南は駅間も結構長くて、路線図で見る以上に距離がある(ちなみにPelawからSunderlandまでは、Newcastle CentralからMiddlesbroughへ向かう鉄道路線と併用の軌道。Sunderlandの駅では同じホームの前の方と後ろの方で違う列車が止まるので、要注意)。
 また、一日券もある。平日9時以前£4.20、その他£3.40、こども£1.00。また、毎日18:00以降は£2.00、水曜日9:00以降は£2.40になる。この辺は機械が勝手に変わってくれるが(変わっていない時は隣の機械を試そう!)、知られていないのがSunday Saver。値段は平日と一緒だが、大人2人、子供2人のグループまでは1枚の切符で行動できる。これは機械では何ともならないところで、知らない人も多いようだ。ちなみにNorth ShieldsとSouth Shieldsの間を結ぶTyne川の渡し舟も一日券、またはZone 3を含む切符で乗船可能。
 その他、周辺のバスと一部の近郊列車を含む一日券Day Rover(前述のDay Saverと間違いやすいので注意!)がある。バスの範囲が分からないので申し訳ないが、有用なのはMetroから近郊列車に乗り継いで大ショッピングモールMetrocentreに列車で行く場合。ただしバスの乗り継ぎの方が安い場合もあり、これはどこから行くかによって変わってくるので、経験あるのみ。あとはバスの乗り継ぎ切符(これは券売機で買える)、より範囲の広いバスを含む一日券などもあるようだが、これについては割愛。
 もちろん定期券もある。一般の定期券は週単位、月単位、年単位とある(参考までにZone 1の1週間が£6.70、All Zoneの1週間が£13.50、年間が£399=8万円)。高く思えるかもしれないが、家賃は郊外の方が安いし、ガソリン代も高いのでまあトントンというところか。筆者はやや家賃が高いものの、大学まで徒歩圏内ぎりぎりのWest Jesmondを選んだ。それでも駅が近いので、空港やCentral Stationや(後者は歩いていける範囲だが)重い荷物を伴う買い物には大変助かっている。(徒歩25分のWest JesmondあたりがNewcastle大学への徒歩圏としては限界と思われ、これより北側はMetroを使った方が良い。大学を中心に考えた場合、市街地として日本人が安全に住める地域は残念ながら東・西には少なく、南は商業地である。もちろん、更に郊外に住む場合にはこの限りではない。一戸建てでも安いし、地域の触れ合いを楽しむことも出来るだろう。筆者の前任者は2児の父で、英国流一戸建て生活を楽しんでおられた)。
 なお、学生の定期券もあるが、日本との違いとして、年単位の定期券は必ず9月始まりの9月終わりである(£240=4.8万円)。またその他も学期別や休暇中のみという風に、大学の日程をカバーするように設定されているので、注意が必要。まあ殆どの学生は徒歩または自転車圏内に住むと思うが、実は大学の寮AccomodationはSouth Gosforthあたりにもあり、また学生の肩書きで家族を連れてくる研究者の方もおられるだろう(俺だ!)。これら定期券はNEXUSのTRAVELSHOPで購入可能。


West Jesmond駅にて。新しい駅でも景観を考えてレンガ造り(もちろん、地震がないからだが)。後ろに見えるのは昔の映画館。

 切符に関する説明はこれくらいにして、実践編。
 このMetroで一番最初に悩むのは行き先である。といっても駅の表示そのものは大変分かりやすく、どちらの方面行きに乗ればよいのかは一目瞭然なのだが、唯一問題をきたすのは中心部(South GosforthからCentral Stationまで)で列車に乗る場合。見ていただけば分かるとおり、黄色の路線が不完全な環状線になっているため、北行き(郊外行き)の列車がSt.James行きと表示されるのである。もちろんこのセント・ジェームズはあの我らが敬愛するNewcastle Unitedの本拠地のあるSt.James Parkのことであり、街の中心部の西にある小高い丘の地下にあるわけだが(なんて小粋なところに駅を作るんだ!)、それを知っていると最初は大変混乱する。駅には電光表示があって、その場合にはSt.Jamesではなく"THE COAST"行き(Tynemouth方面ってこと)と表示されるが、たまにこの電光表示も壊れていたり、郊外の駅ではそもそもなかったりもする。まずはこの行き先表示を理解することから始まる(…って、悩んだのは俺だけか?)。ちなみに、この不完全環状線の乗換駅はMonumentであり、南北線の方が東西線より深い。両線の間は階段しかなく、分かりにくいところにあってしかもやや気味が悪いため(治安はそんなに悪くないが)、エスカレーターで一回改札階まで出てもう一度降りる方が良い。
 列車は殆どが4両編成である。2両ずつつながっていて、相互の行き来は出来ない。ドアはボタンを押して開ける方式で、まごまごしていると近くのイラチのGeordie兄ちゃんが押してくれる(笑)。安全上の理由もあって、席が空いている時は座るのがマナー。ただし対面座席の向かい側に足を置くヤツはよくいるのでお尻は汚れるかもしれないが、まあ細かいことは気にしない。(笑)列車そのものはそんなに汚いことはない。
 冗談はさておき、冗談にならないのがこの列車は時々整備不良気味であることである。たまにブレーキのかかり方がおかしな列車があったりして、気持ち悪いなぁと思っていると「降りてくださ~い」なんてことがある(ロンドンでも経験した事があるが)。今のところ列車故障による事故は発生していないようだが(英国旧国鉄では路線の整備不良による事故が既に何度も起きている)、自衛も必要だろう。よほど急いでいない場合は後続の列車に乗り換えることを薦める。
 列車の遅れは比較的少ないが、最近問題になっているのはヴァンダリズム、すなわち破壊行為である。日本で引き籠る若者がこちらでは破壊的行為を起こすと思っていただければ良い。人間に危害を加えることはあまりない(が、たまにある。他の都市ではよくあることであり、有色人種の我々は常に気をつけていなくてはならない)のだが、鉄道施設を破壊する輩がいて、数日区間運休になったりする。この場合は代行バスとなる。バスの乗り場は各駅に掲示してある(無人駅だからね)。不明の場合は全ての駅にインターホンが設置してあるので、遠慮なく聞くと良いだろう。筆者はまだ使ったことがないが、住民は「次の列車はいつ来るんや?」みたいなことでも結構気楽に聞いている。

 ざっと説明してきましたが、大赤字とまでは行かないまでも決して収支は良くないらしいこのMetro。裏の事情までは知らないので「是非乗って守ろう!」とまでは言いませんが、値上げされているとはいえ良心的な価格であることは確か(ロンドンの異常な価格を考えるとね!)。少しでも利用の参考になったでしょうか?


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コメント 3

PG

はじめまして。madoさんの掲示板から飛んできました。
来月にNew Castleを初めて訪れる者です。
こちらのメトロについての記事は大変参考になりました。
特に古い駅舎を見るのが大好きなので、Tynemouthや
Whitay bayまで足を伸ばしてみようかと思います。
情報ありがとうございました!

また、new Castle市内での質問がひとつあるのですが・・。
D.さんは音楽にお詳しそうなので伺いたいです。
HMVなどの大手ではないCDショップは市内にありますか?
このエリアにはあるよ、などの簡単なお答えで結構ですので
よろしくお願いします。では。
by PG (2006-01-28 14:42) 

KDN

いらっしゃいませ。Tynemouthの日曜マーケットと、街並みと、Marshall'sのFish&Chipsは必ずお勧めしておきます。最後のヤツは英国で一番美味しい店のひとつに挙げられています。高くもないですしね。
どんな音楽をお探しか分からないのですが、ケルトやアイリッシュを含む個性的なものを置いているのはMonument前のCentral Arcade内にある楽器屋さん(名前忘れた)です。Monumentから放射状に出る道の2つの間にある小さなアーケードですが、店はすぐに分かると思います。1階が大人向け、地下にロックやメタル系もあります。
あと、Haymarket駅を降りてすぐのNorthumberland通りからちょっと入ったところにはロック系の中古盤屋とかがあるようです。行ったことはないのですが。
Central Station周辺には小さな楽器屋が数件ありますので、CDを置いているところもあるかも。
by KDN (2006-01-28 18:03) 

PG

お返事ありがとうございました!Tynemouthとても楽しみです。
F&C屋さんもすごく気になる・・(笑)。
CD屋はロックを探してました。時間が取れれば行ってみたいと
思います。ありがとうございました!!
by PG (2006-01-29 16:28) 

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