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Blyth [Newcastle upon Tyne]

1月28日(土) 晴れ
 バスで郊外へ。Newcastleの北20kmにある港町、Blythへ行ってきた。Newcastleから北のこの地域は炭鉱地帯であり、Northumberland県の中心都市のひとつでもあるここはその石炭の積み出しと造船で19世紀から第2次大戦まで大いに栄えた。ジャッキー・ミルバーンとサー・ボビー・チャールトンというフットボールの2大選手(この二人は叔父・おいの関係)の出身地はBlythから更に北のAshingtonで、Newcastle United最大の伝説的選手であるジャッキーが炭鉱夫として働いていた経験があるのはあまりにも有名。


 この街に行った目的はこちら、Burberryのファクトリー・ショップである。Blythの街の西はずれにあって、Newcastleからでもクルマで30分程度だがバスでも行ける。本当にただの倉庫のようなやる気のない店(公式HPにも一切紹介はない)だが、近辺のアジア人には特に知れ渡っているようで(東アジア人は好きだからね~)日中韓国人らしき客ばかり。Burberryほど世界展開をやりすぎて(偽者ではないライセンス生産の)粗悪品が乱造されたり女子高生からヤンキーまで幅広く着られたりするブランド(英国では金持ち紳士とヤンキー両方の定番である)は他にないと思うのだが、少なくともここではセカンド品ながらロンドンの店に並ぶのと同じラインが手に入る。というか、日本ではブルーレーベルとかの廉価版が多数あるが、こちらでは本店での値段が高すぎるのでこういったところでしか手が出ない。この国のアウトレット・ショップの繁栄には、「本音と建前」にも似た国民の二面性を感じざるをえない、とまでは言いすぎだろうか。


 Blythの街はこの地域の中心なのでそこそこ広く、街の中心のマーケット広場も広い。かつては東海岸本線や現在Metroの駅になっているPercy Mainから鉄道が走っていたのだが、1964年に廃止され現在はバスが唯一の交通手段(貨物輸送のみ一部に残る)。バスもくまなく走っていて不便ではなさそうだが、鉄道を復活させようという運動やMetroを北へ延伸させようという運動もあるようだ。その実現可能性はともかく、こういった動きは日本と全く異なる。つまり、日本では一旦人口の減った街に於いて、大都市圏としての住宅地開発が必要なら勝手に人間が増殖してきてそのうちに近郊列車路線も延伸されるだろうし、過疎ならまず復活させようという動きが出ることもない。大都市圏の人口が急に増えたりはしないこと、土地が十分にあること、そしてなにより住民の愛着、といったものが、日本との大きな違いを生んでいるのだろう。どちらが良い悪いではないが、この土地の余裕ぶりには羨望の念を禁じえない。


 美しい教会。


 この街はBlyth川が海に流れ込む砂州(直角に流れ込むのではなく、海沿いにしばらく平行に走ってから流れ込む独特の地形)にできていて、その地形を利用した風力発電も試みられている。かつて存在した火力発電所は閉鎖され(その代わりと言っては何だが、この海岸沿いは北に行くと原発がある)、炭鉱も造船もその役目を終えつつある今、河岸の再開発や新しい工場の誘致といったあらゆる手段を試みているようだ。この地域では、たとえば救急の体制を整えるのにも人員や予算の関係で少ない拠点で幅広くカバーしなくてはならないなど、いろいろな問題点が報告されている(但し、というべきかその結果と言うべきか、一人当たりの行政サービスに費やされる税金はイングランド最高らしい)。北部イングランドの街の苦しみは、日本の過疎地域とシンクロする部分もある。しかしそこへの対処方法や、少なくとも一貫している思想は、官・民の両方ともに全く異なる。あくまで素人の印象だが、日本の(少なくとも過疎地域における)地方行政は政治屋の意向によって過剰になるか、全く見捨てられるかのどちらかであり、そこには行政・住民ともに理想や戦略は全くもって不足しているように思われる。不器用に真似をする必要は全くないが、学ぶべき点は多いだろう。

 いつになく真面目なポストになってしまった(苦笑)


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SHIN

薄い雲の色が、いいなぁ。
木や石やレンガの香りがしそうだ。

そろそろ、公園や道端に
クロッカスが咲き始めたでしょう?
春を告げる花が
キョロキョロと地表を偵察しに、顔を出したようで
とてもかわいい。

これから、いい季節だなぁ~、そっちは。
うらやましいよ。
by SHIN (2006-02-06 08:25) 

KDN

もう少し、というところでしょうか。
「今夜は久しぶりに霜の降らない夜です!」と嬉しそうに
BBCニューカッスルのテレビが言っていましたから。

でも、草や木の香りは普通にしますね、ここは。
自然が豊かというか、土地が余っているというか。
ちょっと日本の街では味わえないものです。
by KDN (2006-02-06 19:18) 

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