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ヴィザ延長顛末記…まだ未解決! [ヴィザ・留学・研究]

(注)ヴィザの受理・許可状況は時期・時代・審査官の気分により刻々変化します。実際の申請に当たってはあくまで参考程度にとどめ最新の情報を入手して下さい。この体験談は一部情緒的な部分、面白おかしく無駄なコトを書いている部分が多々あります。より冷静かつ簡潔な説明として、こちらの先生のページをご一読されることを強くお勧めします。

 さんざん悩まされてきたビザ延長。研究留学の1年以下はAcademic Visitor Visaが簡単で便利。これは2ヶ月まで延長可。それ以上の延長は、以前は1回のみ1年認められることが殆どだったが、2005年春に正式な通達が出て、2005年5月9日以降にこのヴィザで入国した人間はいかなる理由があっても一旦帰国しろ、延長の必要があったら自国の英国大使館でしてこいという命令(以下「5月9日ルール」と称す)が出たため、5月25日入国(申請したのは5月9日より前だったのだが)の俺はこれに引っかかることになり帰国の必要がある…とまあここまでが前回のおさらい。

 さて、では研究者が英国の大学で(英国からは給与をもらわずに)研究する場合のヴィザはどうするのがよいのか。今年3月に2年終了して帰られた先生は、Academic Visitor Visaを2005年春に1年延長されていたが(ちなみに日本の英国大使館では延長不可、ニューカッスルを管轄するグラスゴーのHome Officeでも不可で、全ての書類を直接Home Officeの本部に送付して解決したとのこと)、これはもちろん5月9日ルール適用以降の例ではない。というか、5月9日ルール適用例の最初に当たるそれくらいに入国した日本人研究者は、間違いなく、俺だ(>_<)

 実際のところ、とてもお世話になっているこちらの掲示板でもAcademic Visitor Visaの延長失敗例が具体的に示されているわけではない(はねられる例は昔にもあったらしい)が、各方面からの情報を総合すると正しいヴィザでないと通らない可能性が高いという。というわけで、正しいヴィザというのはまず、“給与をもらわない労働許可証”であるWork Permit for Sponsered Researcher - SR1を大学が申請してくれないと話が始まらない。実際にこれを申請した経験が(こんな巨大国立大学の事務でさえも)あまりなく、何それ?状態だった。給与を出す場合には普通のWP申請だし、給与を出さなくてもいい研究者(というのがそもそも日本人くらいしかいない上に、2年となると殆どいなくなる)はなんかようわからんけど自分で簡単に取ってこれるヴィザ(Academic Visitorのことですね)を取ってきて延長が必要なら勝手にしてくれる、というええ加減な考えだったのだろう。

 この甘えた考え(?)を是正すべく立ち上がった俺は(大げさ)、こちらに到着してすぐからコンタクトを開始し、半年前から必要書類について打ち合わせを始め(ここで得た回答はこちらを参照。その段階で事務が5月9日ルールを知って、Home Officeへの問い合わせの結果「お前はやはり一度帰国しなくてはならない」と通達してきてブチ切れた話もこちら)、ヴィザの切れる3ヶ月前(WPの申請可能開始日)には書類を提出できるよう準備を始めた。
 いざやってみると、この書類は現実的には全然知らない海外の研究者を招き入れる側ではなかなか申請しにくいものであることも分かった(本来労働許可証は全て雇用者側が申請することになっているのだが)。専門職の経歴や資格、学歴なんかはまあ良いとしても、「その者の人格や実力をどのようにして証明できるか」とか「何故そいつが必要なのか、そいつのユニークな能力は?」とか、まあ要するに普通の労働許可証と同じような厳しさをもって審査するわけ(Academic Visitorの申請は預金証明と教授のレターだけで可。延長もそんなものだったらしい)。でも英国に居着いてカネを稼ぐことが目的なら多くの場合はもう既にその国に来ているだろうが、こういう研究者は大体ぎりぎりまで自分の国にいて許可証が下りたとなって初めて来るわけだから、実際に目の前にいる人間にしか書きにくいことはあまり要求しないで欲しいと思うのだが。しかし逆の立場に立てば、どんな国からでも簡単に来られるAcademic Visitor VisaではHome Officeも十分に把握しきれず、またそれをいいことに延長して居着く研究者もいるために厳しくせざるをえなかったのだろう(それぞれの国の大学の真偽や価値などは確かに現地にある大使館でないと把握困難だろう)。

 それはまあ頑張って俺と事務でお互いに埋め合って、一部は大げさに自薦しながら(苦笑)書いたりもしたのだが、問題は「日本のスポンサーからのレターを示せ」という要求だった。日本で奨学金に当たっていたり、大学の給与をもらいながらの留学だったりすればコトは簡単に済むのだが、D.は自分の貯金と親からの借金というお粗末きわまりない自費留学なので、預金証明は出せてもそんなものは(本来は)ない。しかしそうも言っていられないので、日本の大学の先生にこちらでの研究費につき一部サポートしますという手紙(実際に日本から継続した研究は援助してもらっているのでウソではない)を書いて頂いた。
 無事にこれで提出できたと思いきや、Home Officeから提出後に再度連絡があり、「お前の申請はほぼOKだが、一点だけ。具体的にいくらサポートしてくれるのかの金額を示したレターを出せ」という。さすがにこの電話を超有能教授秘書のSueからシャルル=ド=ゴール空港で携帯に受けた時にはどうして良いかパニックになりかけたが、よく考えたらちゃんと大学に残してきた俺の旅程表をにらんでこのトランジットの2時間くらいしか電話を受けられるチャンスがないことを知ってかけてきてくれたSueは本当に凄いヒトだと思うわけですよお母さん(大学生と高校生の子を持つ母でもある)。

「おだてても何もあげないわよ!(笑)」

 悩んで悩んで、結局仕方がないのでトロントのホテルからe-mailで(これがまた英語しか打てなくて、ひどいローマ字のメールだった)もう一度日本の教授にお願いし、お忙しい中、適当な金額を示したレターをまた書いて頂いて(これは正直、全くのウソである。使った分の若干の研究費を助けて頂いているが、そんな滞在費まで含まれるような金額を頂いたりはしていない)英国に発送。このレターが実は英国側で迷子になってもう一通書いて頂いたり(2通目は後のヴィザ申請に使わせて頂いた。K教授!本当にありがとうございます!)と、とんでもないご迷惑をおかけしてやっと最終申請。ちなみに申請料153ポンドは本来雇用者側の支払うモノであるが、自己負担。ちっ。

 さて、労働許可証が順調に発給される予定ですという4月5日付けのレターがHome Officeから大学に届いた(つまり日本からの最後のレターを入手してすぐOKを出しているわけで、これは実に素早い対応)。この段階で労働許可証そのものはまだ入手できていないが、レターには「Dr.D.にはこれより同時にLeave To RemainをFLR(IED)のフォームを使って申請し始めなくてはならないと伝えてやってくれ」と書いてある。労働許可証はヴィザではないので、これからヴィザの申請をしなくてはならないのは当然なのだが、Leave To Remainは既に英国内にいる人間がヴィザを帰国せずに延長することだし、当然FLR(IED)、何の略かは調べる気にもならんわい、は国内から内務省に申請するためのフォームである。あれ?帰国しなきゃいけないっていう5月9日ルールは?どっちみちオープンチケットの期限があるので、5月末に一旦帰って、6月1日に再渡英するチケットはもう押さえてあるよ。
 ということで質問のFAXをレター差出人の担当者に送ったのだが、翌日不愛想な彼が言うことには「担当が違う。こちらに電話を」と番号を教える。まあ労働許可証とヴィザは全く違う部署だから仕方ないっちゃ仕方ないのだが、FAXくらい回してくれても良いのに…ただでさえ俺のつたない英語力じゃ電話は通じにくいし、どーせまたたらい回しか不愛想な対応だろう…とぼやきつつ、気乗りのしない電話。ところがここで対応してくれた男、(不愛想ではあったが)必要な情報をクリアカットに与えてくれる、この国では絶滅危惧種的好漢だった!

(1)お前に発給されるWP-SR1は国内申請用(Inland)のWPである。 (2)従ってお前は英国内で延長手続きができる、つーかむしろしなくてはならない。日本の英国大使館ではダメ。 (3)そのレターに書いてあるRef.No.xxxxx/Exxxxxxのうち、Exxxxxxの部分がWPの番号だ。 分かったか。分かったなら良し。以上。

 このやりとりは全く感動的であった。要するにそのWork Permit SR1が英国内申請用で認められた時点で俺の例は5月9日ルール適用外と認められたということなのだろう(そのあたり、弾力的な運用が多いのもこの国の特徴)。この点については今後英国内でAcademic Visitorからの延長申請として提出する場合には認められない可能性も高く、その場合にWork Permitの申請そのものも帰国してからしか認められない可能性もあり、この場合には英国の大学によるWP申請から受領、日本への発送というプロセスで1ヶ月近い日本国内での待機というロスも覚悟しなくてはならない(WPを受けとってからの在日本英国大使館でのヴィザ申請は即日のはず)。これらは最悪の場合を想定した書き方であり、実際にはそこまで厳しくはならないかもしれないが、やはり、1年を超える滞在には何とかしてWork Permit SR1を最初から申請してもらわなくてはならないということだ。

 とまあ、そこまではっきり国内で延長!と言われたからには、5月9日ルールのコトは忘れて延長申請をするより他ない。ここからは大学の力を借りるところではなく、自分の力でやらねばならぬ(大学の事務は「ヴィザができたらパスポート一度見せてコピーさせてね~」だって。登録が必要なのもあるが、初めての例で今後の参考にしたいので興味があるらしい:苦笑。まあお礼の一つも言いに行くつもりではあるが)。FLR(IED)に必要な書類はWP申請の場合きわめて少ないし書類にも難しいところはない(他の、例えばHSMPなどの場合はまた異なる)。パスポート、写真2枚、財務証明(預金証明=英文、スポンサーからのレター=この申請では親や家族でも可らしい:笑)、家族のいる場合は婚姻・出生証明書=英文。…その最後のヤツは何だ!ということでこちらのページに助けて頂いたのだが、新しく戸籍謄本を日本から取って送ってもらい、それを英国の日本大使館(ニューカッスルはエジンバラの総領事館)に6ポンドのPostal Orderとパスポートコピーと一緒に送って翻訳証明を作ってもらう(これがまた紙切れ1枚の色気のないヤツで…)という作業に10日を要してしまった。なお、以前のヴィザが既に夫婦として出してもらっているモノだった場合、延長申請ではこの婚姻証明は改めて必要ではないという情報もあるが、確証はないので用意した方が良いと思われる。

 こんな感じでへとへとになりながら(といっても順調に行っているんですが)Special Deliveryで郵送。4月最終週、ヴィザ期限の4週間前と、まずまずの手はずであった(ヴィザ延長は5週間前からがデフォ)。なお郵送先はCroydonではなく、また実際の仕事をする本部のSheffieldでもなく、StaffordshireのCannockというところである。申請料335ポンド、約7万円!!但しこれは家族全体の価格である(日本の英国大使館では一人75ポンド=1.5万円)。ま、日本での申請は東京往復1泊のカネもかかったはずだし、何より日本往復の苦労も飛行機代も浮く(キャンセル料は取られてしまったが、1年FixOpenと片道or格安帰路放棄の価格差には及ばない)。日本の皆さん、D.とTamaが一時帰国を取りやめたのは以上のような理由によるものです。なにとぞお許しを。

…で、一件落着のはずだったのだが。
 5月6日、なんと却下で返ってくる!
 ヴィザセクションによれば5月9日ルールは絶対。なので、当初にInland用のWPを作成した側のミス。しかし335ポンドは返さないという。相手側のミス(1年も前に通達されたルールを理解していない)が明白であり、あまりにひどい例なので正式に返還請求を行うつもりだが、期待はしていない。
 それよりは目下の申請をどうするかだ…。Out of UK用のWP-SR1をすぐ作り直してもらって日本で延長申請するのが順当だが、じつはこれすら大学の事務もHome Office側も(!!)混乱していてまだ決着していない(SR-1じゃない普通のWPを申請しろと言ってみたり、今すぐ国外に出ないといけないとかワケの分からないことを言ってみたり…)。ヴィザ担当者は一切のアピールは受け付けないと杓子定規(教授が直接担当者に電話してくれたが、明確にルールを示してダメだと言った)、WP担当者はSueが怒って電話を叩き切りたくなるほどの無能(まったく、バカと杓子定規が逆だったらすんなり行っていたというのに)。最近Home Officeは移民の重犯罪者を国外退去にする手続きを怠って100人近く市中に釈放していた事実が明らかになったばかり。犯罪者は国内に留めて、プロフェッショナルの学者は国外追放か…と、教室一同あきれ返るばかり。
 というわけで結論は来週に持ち越し。緊急帰国の可能性限りなく大、WPを手にできず帰って日本で郵送されてくるのを待つニートなイライラの日々を過ごす可能性もあり。何の意味もないと知りつつ、ここであえて今更混乱するバカな大学とHome Officeに一言言っておこう。
俺の情報分析と、必要なものへの行動は(来る前の昨年春の段階から!)全て正しかった。俺、天才。でも無能な英国人連中が、有能な人物の分析を反故にした。
GO TO HELL.
Japanese are smarter than YOU!

 続報は次週。


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どらとら

やっぱり…こんなオチでしたか。
健闘をお祈りします。
そして、最後の赤字以降、非常に、ひじょ〜うううに同意いたします。
They are F*****g stupid lazy w****rs(あ、言い過ぎ?)であります。
by どらとら (2006-05-17 06:27) 

KDN

それがね、まだ2段・3段とオチがありそうなんですよ。
「やめさせてもらうわ!つ>_<) バシッ」といきたい所なんですが、昔からDie Hardで知られているこの男、Newcastle Brown Ale何杯か飲んだら生き返ります(笑)。とりあえず、来週一時帰国の予定ですが…。
by KDN (2006-05-18 08:01) 

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