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夏休み(4) アイルランド [国外旅行]

7月13日~18日 珍しい猛暑
 自宅で少し休憩して、夏休みの続き。まずは北アイルランド・ベルファストへ。格安会社のFlyBeというのはFly Belfastなのだということを初めて知った。20年続く老舗(?)の格安会社らしいが、飛行機は生まれて初めて乗るプロペラ機である。北イングランドのニューカッスルからだと40分もかからない。

 ベルファストの街は特にこれといって見どころがなく、普通のイングランドの工業都市と同様の感じだったし食事は例によって不味かった(Fish&Chipsですら最悪だった)が、アルスター博物館Ulster Museumは面白かった。IRA関係の展示も(中立の立場で)いろいろある。治安は悪くないようだが、もともと人があまり遅くまで出歩かない街(特に土日)で、なおかつ土曜日の朝からヨーロッパ・バスセンター(ホテル・ヨーロッパの裏についているのでこの名前)にうろうろしている酔っ払いが数名。攻撃的ではなかったが。
 ベルファストに来たのは世界遺産、ジャイアント・コーズウェイに行くためである。

 ベルファストからバスで3時間半。アイルランド島の北東岸の小さな村伝いにバスは走り、北の果てにジャイアント・コーズウェイはある。柱状節理の海岸だが、規模は非常に大きい。数日前までいたコスタ・デル・ソルがヨーロッパの南の果てなら、こちらは間違いなく北の果てだ。

 巨人のオルガン。海岸沿いには特に柵などもなく、普通に上ったり入っていったりできる。さすが自己責任の国だが、日本のようにゴミが多く捨てられていたりはしない(多少はある)。
 帰りはポート・ラッシュの街でまあまあのレストランを見つけてまあまあの食事(でもスペインに比べれば高く、ポルトガルに比べれば悲しいほど高い!)。一日券は鉄道にも乗れるので、ベルファストまで鉄道で直行できる。

 ダブリンへはバスで移動。この路線は安売り合戦が行われていて、一人6ポンドとか8ポンドとか、(英国的には)ふざけているとしか思えない値段で移動できる。所要3時間。国境審査は一切ない。
 ここでの目的はRiverdance。ガイエティ・シアターでHome-comingの公演を観ること。7月15日の土曜日、これまで何度も観てきたRiverdance(ちなみにTamaは初めて)を地元で3列目で観る素晴らしい機会に恵まれた。

 …感想?…「劇場が小さくなっただけ」。観客も地元の人ではなく、初めて観に来る観光客が殆どのようだった。言いたいことは山ほどあるが、とりあえず背景画像にポインタの矢印が出ていたり、プロジェクタの「ランプの寿命があと何時間です」表示が思いっきり映っていたりといった、プロらしからぬなさけないミスはやめていただきたい(始まったばかりの公演じゃないんだから!)。決まったハコでロングランでやる決断そのものは悪くないと思うが、その分クオリティは高く保たないとしまいに誰にも見向いてもらえなくなるよ。ダンサーは素晴らしかったが人数が減った分迫力は弱くなっているし、そのセットでRiverdance Internationalのスポットライトを浴びせられてもなんだかがっかりしてしまう。プリンシパルは固定せずにダンサーの中から交代制でやっているらしく、アナウンスも表示もなし(パンフレットでも5,6人の写真が並んでいる)。これも窮余の策か。

 唯一の収穫はフィドラー、ゾーイ=コンウェイZoe Conway、正しくはeの上にウムラウトでZoё。Moriyさんの言うところの「あたしフィドルが本当に好きでずっと弾いてるんです☆女子高生的フィドラー」という表現が本当にそのままの可愛い女性だが、その可愛い笑顔のままさらりと見せるテクニックが鬼、小悪魔を通り過ぎて悪魔。革命児アイリーン=アイヴァース、炎のフィドラー・モーリン=ファイとは全く異なり、完璧なテクニックを披露するタイプ。フィドラーによくあることだが、特別なトレーニングを受けたことはなく、独学で学んだフィドルらしい。しかしむしろきっちりとバイオリンを習っていたような雰囲気がある。彼女の初めてのソロ・アルバムも購入してきたが、本物の土着的フィドラーとしては物足りないかも知れないが、アーティストとして素晴らしい出来の作品だ。今後も注目したい。


 ギネス・ファクトリー、自分で1パイント注いでみるコーナーにて。7年前に来た時に比べて格段に大きく、綺麗になっていた。おそらく観光の目玉として国と市が資金援助をしたのだろう。バーが2つ、レストランが1つあって、このレストランがまた素晴らしかった。ビーフのギネス煮は特にお勧め。

 Phil Lynottの銅像。昨年だったか今年だったか、今も存命のお母さんを招いて除幕式が行われたところだ。街の繁華街の真ん中にさりげなく立っている。ちょっと顔とか、漫画っぽくて笑ってしまうが、今も忘れられていない証拠だろう。
 今回はテンプル・バーのホテルに泊まったのだが、土日に当たってしまいうるさいことこの上ない。神経質な方ではないので眠れないことはなかったのだが、Tamaはスペインでの日焼けの皮膚炎が悪化して大変なことになってしまっていた。


 ダブリン空港でレンタカーを借りて西岸へ1泊のドライブ。一年に数日しかない熱波だというのに、このレンタカーの新型Micra(もちろん日産マーチのことね。で、もちろんマニュアル)にはもちろんクーラーなどついていない。暑い!
 バレン高原の通称「巨人のテーブル」。古代の民族の墓標だと言われているが、紀元前3世紀と推測されている以外何も分かっていない謎の遺跡。この辺りは一面の石灰岩の丘で、木の1本も生えないアイルランドの自然の厳しさを代表するかのような風景が広がる。

 モハーの断崖Cliffs of Mohar。大西洋を見下ろす絶壁だが、大観光センター建築中で突端にある城(これは観光用に作られたもの)にも入ることができない。立ち入り禁止区域を無視すれば崖の先まで行ける(行っている観光客も多かった)が、まあそんな気分にはならない。車でしか到達できないエリアであり、そのためにレンタカーを借りたのだが、来た甲斐はあった。

 最後の宿泊はリムリックLimerick。アイルランド第3の都市で、イングランド軍に攻め込まれたカソリック最後の砦。この石は条約の石といい、イングランド王ウィリアム3世がカソリック信仰の自由を認めた条約のシンボルなのだが、イギリス議会は条約を認めず、その条約を信じていたアイルランドをあっけなく蹂躙してしまう。腹黒英国を象徴する「裏切りの石」である。

 帰路はダブリン国際空港にまっすぐ向かい、レンタカーを返してRyanAirでニューカッスルへ。アイルランドからの帰国は入国審査がないとは聞いていたが、本当にない。国内線扱いである。スペインから戻ってくる時には入国審査官が「あなたたちは一度ヴィザ申請を却下されたのよね?」とわざわざ聞いてきやがった。しかもこれが2度目だ(1度目は日本から戻ってきた時)。「前も説明したで?またせなあかんのんけ?」とさすがに呆れながらもう一度、Home Officeのバカぶりについて説明。状況は明快なので納得してくれたが、「俺、今年あと2回ここを通らなあかんのやけど、そのたびに聞かれるんかい?あぁ?」とぶーたれてみたら、「きちんとこの件についてはファイルに残しておくから大丈夫よ」と言う。ま、このロクに申し送りもできない役立たず公務員どもが、絶対大丈夫なわけがない。次もその次も同じことを説明しなくてはいけないだろう。しかも次(9月)はここだが、次の次(11月)はマンチェスターである。何年か後に別の仕事でヒースローでも使うとなったらやっぱり詰問されるのだろう。しかもヴィザの申請費用は返さないという手紙が来た。よくこんな国で頑張っているものだと、我ながら感心(?)する。


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コメント 2

たくあん

おひさです。
ヨーロッパライフを満喫されているようでうらやましい限りです。
日本は非常に暑い(しかも蒸し暑い)日々が続いています。
母校(高校ね)では事件があって、変に有名になってしまったりで。
ところでメーリングリストのメールが戻ってきてしまいました。
アドレスが使えなくなったのか、変更されたのか。
またご連絡くださいね。
(ここに書き込んでもいい内容かちょっと疑問ですが…)
by たくあん (2006-08-12 17:19) 

KDN

たくあん先生いらっしゃい。
母校の後輩の騒ぎはネットでヲチしていましたが、僕たちとしては一番望まない結果になってしまいましたね。本人のことももちろんですが、お父さんの気持ちを考えると実にやりきれない想いに駆られます。おそらくそちらでは父親関連の情報も回っていることでしょうが…
by KDN (2006-08-14 23:09) 

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