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週末の食事 [英国生活・文化]

 Tamaがブログを更新しないのでもっぱらD.の仕事になってしまっている料理のコーナー。実は夏休みのポルトガルやスペインでもたくさん料理の本(英語のものと日本語のものがある)を買ってきたのだが、アーモンドの冷製スープの他はまだ試していなかった。そこで先週末は南欧気分を楽しむべく、いそいそと料理に勤しんだ次第である。

 料理とは全く関係ないが、土曜日の昼は内陸の近郊の町Corbridgeへ。アンティークや画家の店が軒を並べる可愛い町だ。車だと30分もかからない。偶然、うちの世話になっている不動産屋のオヤジ(ユダヤ人。ちなみに家主もユダヤ人)に出会ったのだが、彼はこの町に住んでいると言った。ここは紀元84年にローマ人が北部の前線の基地として造った、北イングランドらしい歴史のある町だが、4~5世紀に撤退し放棄したと言われるこの地に1500年後まさかユダヤ人が安住して居ようとは想像もつかない話だろう(笑:いや、当時からそうでもなかったのか?)。


 土曜日の一品目。「ジャガイモのグリーンソース」。スペイン料理の本に載っているが雰囲気はポルトガル料理。イタリアン・パセリ以外、何がグリーンなのかよく分からないのだが、ポイントは魚のソースになっているところ。本には「冷凍の魚」としか書いていないが、本式にはポルトガル名物バカリャウ(干しタラ)であろうと勝手に想像し、英国で簡単に手に入る燻製タラを使ってみた。味は悪くないが、やはり真空パックの魚では臭みが残るので満足はできない。65点。


 二品目。「ラム肉のシチュー」。スペイン料理(地域は分からないので割愛)。まあラムのシチューだが(当たり前)、甘いピーマンと玉ねぎをふんだんに用いて煮込み、色合いはパプリカだけ。小麦粉を少し加えるも、焦がしてルーにしたりはしていないので、純粋に素材の味と舌触り。もっとも、ラムの匂いもはっきりとするので、苦手な人には難しいだろう。個人的な嗜好で75点あげる。


 日曜の昼。スパニッシュオムレツ。ちなみにスペイン語では「トルティーヤ」で、あのメキシコの巻きまきして食べるやつと語源としてどう違うのか興味深いところだ(同僚のブラジル人は巻いたらタコス、オープンならトルティーヤかな?と推測していたが)。それはともかく、アク抜きしたナス、赤ピーマン、トマトをかなり多目のオリーブオイル(これポイント、試験に出るよ)で炒めて、オイルを残した状態で卵6個を加える。たったこれだけの卵焼きなのだが、実に美味しい。トマトが調味料的に役立っているのだろう。80点。


 日曜の晩、一品目。「パリの市場の伝説的オニオンスープ」、これだけフランス料理。こちらの出典は下方のAmazonを参照。とにかく一番安いシチュー肉、700gで2.5ポンド(最近のレートだと550円くらい)のやつを購入してきて香草や玉ねぎと共に1時間煮込んだビーフブイヨンが決め手。そのまま出すあっさりとしたスープならインスタントのキューブでもいいが、やはりこうやって煮込んでゆくスープとなると、天然だしにかなうものはないと実感。そもそも化学調味料が嫌いなので、嫁泣かせな夫なのだが(ただし唯一の例外は焼きそば・豚キムチに使うオイスターソースで、その使い方が多いので更に妻には呆れられているが)。80点。
 同じことはしょうゆにも言えて、普段のちょっとした味付けならこの国のどこでも手に入る中国製のAMOYなるメーカーのものでも気にはならないが、火を入れてゆくと途端にケミカルの臭いが湧き上がってくる。その目的には、価格が倍はするがどうしてもキッコーマンが必要になる。これも大き目のスーパーで容易に手に入るのが嬉しい(ただしオランダ製)。


 二品目、「牛すね肉のトマトソース煮」。スペイン料理。玉ねぎとニンニクを炒めたところに、刻んだトマトとトマト缶を両方加えて、トマトをつぶしながらじっくり2時間煮込む。赤ワインとシードルビネガー(本当は両方あわせてワインビネガーでいいわけだが、手元になかった)をほんの少しずつ隠し味に加えたが、殆どはこれも素材の味。ここに赤ピーマンと、煮込んでスープをとった後のシチュー肉を加えてじっくり煮れば出来上がり。肉も一番安い部分とは思えないほど柔らかくなるが、何と言ってもこのトマトソースが最強。普段パスタに合わせるためにささっと作っている時には到底味わえない、「イタリア料理店の前を通りかかった時に漂ってくるあのなんとも美味そうな匂い」がぷんぷん漂ってくるではないか。ニンニクもしっかり使っているが、やはり生のトマト(日本に比べて特に美味しいということはない)と、玉ねぎ(これも特殊なものではないが、すごく小さいクッキング・オニオンというやつ)が決め手のようだ。まるでどこかで間違えたかのような素晴らしい出来だが、再現性があるかどうか、また再来週の週末に試してみよう(今週末は小旅行なので)。ほぼ満点。

 以上、「南欧の味をご家庭の食卓で」のコーナーでした…というよりは、実験強化月間と次回の学会発表準備で煮詰まっているナンチャッテ研究者の、非ノイマン型ストレス解消法でした。とほほ。

お鍋でフランス料理―ビストロの味、田舎の味

お鍋でフランス料理―ビストロの味、田舎の味

  • 作者: パトリス ジュリアン
  • 出版社/メーカー: 文化出版局
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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