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マレーシア(1) KL [国外旅行]

 学会でマレーシアへ。会場であるKLCC(本来はKuala Lumpur City Centerで官公庁街の意味だそうだが、最近できたConferrence Centerがここにあってこう呼ばれる)は日本で言うと有楽町あたりの、正に都心にありながらちょっと開発に乗り遅れていたあたりにある。そしてその地区の象徴といえば、もちろんこちら。

 ペトロナス・ツインタワー!この塔についてはいろいろ都市伝説がある。あえてここで多くは語らないが、確かに日本の間組が作った方でない方のタワーは、夜には上の方が明るくなかった。そして、バスのガイドは確かに、二つの塔を結ぶ橋は日本の方でない方の国の企業の好意、というか独断で作られた、と言った。…もういい。都市伝説であることを切に祈る。

 英国統治時代の総督府の建物。この向かい側は英国人がクリケットのグラウンドとして作った芝生で、1957年に独立宣言がなされてからは独立広場として国の象徴的な聖地となっている。粘り強い交渉の結果、無血で独立を勝ち取った(ただし共産ゲリラとの厳しい戦いはあった)数少ない国の一つであり、その意識を植え付けたのは日本人であると言われるが、その過去の日本人に対する意識は様々。インド系は日本人に感謝していると言い、中国系は父親は日本人を嫌っていたと言っていた。そのどれもが真実だろう。ただ、注記しておきたいのは、人種を問わず決して現在の日本人に対して後ろ向きの考えを持っている様子は見受けられなかったことだ。
 
 マレーシアという国には興味があった。2020年までに先進国の仲間入りをすることを目指し、そのために日本や韓国を見習う…という政策。アジアでも有数の経済成長。勤勉さ。通貨危機からの素早い復活。それでいてイスラム教国。そういったことを聞いていたから。
 しかし、残念ながら、彼らは日本や韓国の失敗を繰り返しているに過ぎないと感じた。彼らが英語を話せるのは、マレー系と華僑とその他の間で共通語が持てない為にやむを得ずやっていることであり、低社会層が満足に英語を話せるわけではない。交通渋滞のひどさと、それを解消する為の方策のなさ(鉄道も既に満員であり、それでいてキャパシティを増やす方法はなく、しかも遅れたり止まったりする。この点は日本に到底追いつきそうもない)。スラム。大気汚染。箱物行政の醜さ…KLCCで今回行われたこの学会は世界規模の3年に一度の学会であり、8000人を超える参加者があったのだが、英語・中国語双方の新聞が「KLCC開場以来最大のイベント!」などと喜んでいる。もう1年経つんだろ、本格稼動から?ホコリの積もっている国立の施設も目にしたし、それはまるっきり日本が地方自治体レベルでアホみたいに繰り返している失敗じゃないか!
 あとでドバイ空港の件でも述べるが、日韓米中問わず、無反省な失敗も輸出される。その事実は分かって欲しいと思う。マレーシアの人々に。彼らは明らかに素晴らしいポテンシャルを持っている…その勤勉さは日本人とアジア1,2を争うだろうし(昨今の劣化ぶりを考えれば既に負けているかもね)、ある程度以上の層で英語の会話能力が高いのは大きな武器である(ただし大学以上の教育が英語でしかできないのは決して良いことではなく、これは日本でも度々議論になるが、僕は明らかに日本の勝ちだと、英国に来て初めて思っている。これはまた別の機会に)。しかも世界で数少ない、すぐに"I'm sorry"の言える国民なのだ(これは滞在中いくつかあったトラブルの中で何度もあった)。だからこそ、同じ失敗をして欲しくない。マハティーユ前首相の開発独裁はこの国を然るべき地位まで押し上げたが、そのやり方がいつまでも上手く行くわけではないのだ。
 今回は珍しく(?)招待されて講演してきたので、なんとなくエラそうな気分で話しているかもしれない(と言っても渡航費は全く出ない。しかも招請講演の演者としては最年少の一人で、どっかのエライ先生の代役だったので、散々それをパーティのつかみのネタにしたった。講演そのものは頑張りましたよ)。でも、この国は「先進国を目指す」のではなく、「発展途上国であってはならない」んだと思う。親日的なアジアの国に対してだからこそ、日本は自分の失敗を繰り返さないように正直に、ただ単純に正直に、自分たちの「経験」を投資していかなくてはならないんだと思う。USやK国やC国にその意識を求めるのは永遠に無駄。でも、日本ならカネに縛られない何かをできるはずだ。

 固い話はこれくらいにして。

 ええっと、マレーシアのルート・ビアーです。ルート・ビアーというのはビールじゃなくて薬草系の炭酸飲料らしいですね、アメリカに行ったことがないので分からんのですが。これもそうです。ただ、香りがどう臭っても薬草じゃなかとです。つまり…その…シップなんです(苦笑)。味は普通の安コーラ。


 マッド・サイエンティスト、生まれて初めて講演料の小切手をもらうの図!若手研究者賞は幾つかもらったが、エロい人扱いは初めてだ(そして人生最後だったりして)。前の日に挨拶した時にも、座長の英国人某センセイはこんな若いアジア人で大丈夫かっていう不安がありありやった。400人くらいのホールが結構埋まった講演を無事に終わってから、"Well done! キミを日本に帰すなんてもったいないよ!"なんてお世辞を言ってくれたから、ま、小切手分の仕事はできたんだろう。やれやれ…


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