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2.18宣言 [その他日記]

少し本ブログのテーマから外れますが、お許しを。

宣言
我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ
支援します。


 日本の医療危機は医師の責任(だけ)ではありません。
 厚生労働省官僚の主導する医療崩壊と、それに煽動されるマスコミ、医師という一労働者に不当な労働を強い続けた病院設立者(地方自治体や国立病院機構など)。そして本当に医療のトラブルに苦しむ患者さんたちをないがしろにするだけの、一部の活動家による誤った「患者の権利」の主張と無用な訴訟。
 2月18日は2006年、不可避の帝王切開中の妊婦死亡について、こともあろうに業務上過失致死の疑いで第一線の産科医が逮捕された忘れがたい日です。捜査や逮捕後の起訴・公判のずさんさは言うに及ばず。
 ずさんなのは厚生労働省も一緒で、医療改革を唱えながら、実態はただ世界最高のコストパフォーマンスを誇った日本の医療システムを崩壊させただけで、あとの策は一切なし。あまりの混乱ぶりにとまどった官僚が、あれだけたたきつぶした大学医局の長たる教授に「なんとか医局制度を復活させて地方へ医師を派遣できないか?」とのたまったという、笑いすぎて涙も出ないような哀れな発言をしたという話さえあります。
 いずれにせよ、医師にできることはあまりありません。過労死する前に、条件の良い病院に移るだけ。報酬は良いに越したことはありませんが、数年前なら高報酬で地方に呼び止められただろう医師たちも、いまや報酬だけでは動かない時代になってしまいました。共産主義的に頑張ってきた医師たちを叩いて資本主義市場の原理に放り出したのは官僚だけでなく、マスコミと、医師の実態から目を背けてきた一般市民の責任でもあります。
 「医療崩壊を食い止める」ことは医師の力ではできない、というのが既に一般的な医師の意見です。医師はもともと目の前の患者さんのために闘うようにできていて、政治にクビを突っ込んだりする医師にはめったにロクなのがいません(一例)。ただ自分の身を守り、そして仲間の苦境には少しでも力になりたい。ただそれだけのことです。仕事を離れている留学中の者が偉そうなことを言えるものではありませんが、日本の医療は少なくとも今までのような平等で最先端のものではなくなる。そのことだけは知っておいて下さい。上記宣言文はひとりの小児科医の先生の呼びかけによるものですが、各所で反響を呼ぶことを願っています。

もっと知りたい方は以下の先生方のリンク集を。
新・小児科医のつぶやき http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/
ある産婦人科医のひとりごと http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/
勤務医 開業つれづれ日記 http://ameblo.jp/med/
A企画 http://members3.jcom.home.ne.jp/3729975002/Menu.html
医局脱出へのカウントダウン http://drpooh.exblog.jp/
天漢日乗 http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/
紫色の顔の友達を助けたい http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/
周産期医療の崩壊をくい止める会 http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage


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コメント 2

Dr. I

はじめまして、循環器内科医のDr. Iと申します。
私も全く同感です。
医師個人の力というのは、非常に弱いですから。
しかし、今回の企画のように医師だけでなく、賛同者がたくさんいれば、少しは何かができるかも、と思ってブログを書いています。

今後とも、よろしくお願い致します。
by Dr. I (2007-02-18 14:18) 

KDN

 いつも拝見しております。間もなく現場に戻りますので、全く人ごとでない事件であります。心より無罪と、医師の労働環境の改善を願っております。
by KDN (2007-02-18 21:17) 

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