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クリスマス・ショッパーズ 後編 [英国生活・文化]

 さて、ドイツ長距離バス旅行譚の後編。といっても、前編でもう肝心のクリスマス・マーケット(ちなみにドイツ語ではWeihnachtmarkt、聖夜のマーケット、で正しいですよね、SHINさん?)は終わってしまったし。しかもカテゴリは「英国生活・文化」だし。この後編は一体何なのでしょうか?
 
 帰る日の朝、レバークーゼンを出たバスは順調に快走し、オランダ~ベルギーを経由してフランスに…入ろうかと思った寸前の小さな村に停車。チョコレートとタバコを売る小さな店が並んでいる。酒も売っている。おっさんおばはん全員みんなわさわさと降りて小さな店内にたちまちあふれかえる。「どの店でも値段は同じだから一店でさっさと済ませてバスに戻れよべらぼぉめ」とガイド(2人の運転手が交代でハンドルを握るので、運転していない方。男性)がかっくにぃ丸出しの英語で言っている。一体何が起こっているのかは、英国のタバコの値段を知らない人には理解しがたいでしょう。これがまたとんでもない税率のおかげで一箱4.5~5ポンド(900~1200円!)もする。労働者階級の方がタバコは吸うもんだから、日頃の「1ポンド=100円の気分で奴らは使っている」説はタバコには当てはまらない。
 これが免税品なのか、そうでなくてただベルギーのたばこ税が安いのかは不勉強で存じませぬが、まあみんな買うこと買うこと。カートンでどかどか買っている。件のガイドのおっさんも20ポンドの札束切って買ってる(ポンドが使える店だった。が、50ポンド札ってこのインフレなのに英国内でも全然流通していない。偽札のように思えるらしく、日本から持ち込んだ50ポンド札を嫌がられることが多かったが、要らん保守的感情だ!)。EU圏内から英国へ持ち込むタバコは個人使用の範囲なら制限はないとされているが、一応の目安は3000本(!!)と公的なリーフレットに書いてある。EU外からは常識的な200本とかそんな数なので、日本から持ってきてもダメ。ま、タバコを吸わないD.には関係のない話だが、喫煙者の方には…もうとっくにやっている方法なのかもね。
 とまあこうやって、英国ヤニ喰い之現状を目の当たりにしたところで(小さなのどかな美しい村に小さな店が乱立して奥のカウンターでタバコをカートンで売るサマはなかなか隠微なものがあった。店員もいい感じ?にガラ悪かったなぁ)、バスは出発。フランスに入り、今度は一路カレーCalaisを目指し、ユーロトンネルに向かうかと思いきや、街の郊外の工業団地のようなところにある郊外型マーケットに停車。今度は…酒酒酒!


 タバコ嫌いのD.でも、こちらの誘惑には抗えない。こちらも免税なのか税金が安いのかは分からないが、おそらくフランス人の生活必需品としてワインの税金が安いのだと思われる(手続きは何もしていないし、地元の人も買いに来られる雰囲気の店だから)。ワインは他国産自国産、安物から中級くらいまで様々あるが、チリワインのシャルドネ(左から2本目の瓶)に至ってはたった1.64ユーロ(230円!!)である。一番高いのは自分の好きな銘柄と同じ産地を選んだ赤(左から3番目)で、実のところかっこいいラベルに魅かれたせいもあるのだが(素人)、それでも3.10ユーロ(450円)。左端の3リッター箱パックワインは約5ユーロ(700円、3.5ポンド)で、これはライン・ワイン。さっき飲んでみたが、ドイツらしい甘口の十分いけるワインだった。日常飲みには十分。先日近所のTESCOで買った3リッター箱は9ポンド近くした。ああ、留学先を誤った。(爆)


 その他にも興味深い酒はいくつかあったが、面白くてついでに買ってしまったのがこのJack Danielsの1.5リッターボトル。サイズそのものは慣れない人にはビックリでもD.は既に慣れていて、学生時代にも買って飲んでステージに飾っていたことがある(笑)。面白いのはお気付きのとおり、ラベルが逆貼りになっていること。あくまで想像だが、業販用の特別仕様なのだろう(パブではボトルを逆にセットして、下に向いた口にショットを出す器具を付けるから)。これは日本の大型量販店と同じくらいの値段だった(ということはやはりイングランドよりは安い)。ワインほど割安でないのは税金の違いか、日本の値段に慣れすぎているだけか?かわいいブーツ型のコップたちはクリスマス・マーケットのお土産。あと、途中のベルギーのSAで飲んだミニボトルの赤(の空き瓶)は、一つ上のフランスで購入したワインの並んだ写真の中に同じものあり。この時は250ccボトルで3.5ユーロ(500円)だから妥当ではあった(21%の税金を思えば良心的!)し、なかなかしっかりとしていて美味しかったが、フランスではフルボトルたった2.35ユーロのワインだ。ああ、やっぱり留学先を誤った。


 これまで愛好してきたTESCOの安ワインは怒涛のフレンチ・ダンピングのためにあえなく撃沈したが(笑)、先だっても書いたとおり味は悪いわけではない。また、他の種類の酒には近所のTESCOの方が安いために手を出さなかったものもある。代表格は、ビール。440ml缶の24本パックが銘柄による差はあるが平均して12~13ポンド(2500円前後)で売られている。このFOSTERSはF1のスポンサーで有名な豪州Lagerだが、ごくまれに数量限定で10ポンド(2000円)まで下がるのでその時を狙って買っている。1本80円ちょっとのビール(日本の激安売りによくある抜けぬけビールやクズ発泡酒ではなく、パブでも供されるしっかりしたビールだ)にはさすがに敵うものはなく、パブで間違ってもLagerを飲む気にならなくなってしまう(FOSTERSはパブでも一番安いが、それでも1パイント=578mlが大体2ポンド=400円)。つい先日は運良く3パックも買えたので、しばらくはLagerを買う必要なし。うむ、留学先は誤っていなかった。(苦笑)

 そんなこんなで(もっと安いワインも売っていた。1本1ユーロとか、3リッター3ユーロとか。そこまでは持てないのでやめた)ワインボトル8本、3Lパック4つ、バーボン1.5L1本を仕入れバスへ。みんな最低でもワイン6本は買っているし、ビールのケースを抱えている人も。ガイドのオヤジは「一人2箱までにしてくれよぉ~積めなくなるぜよぉ」と言っていたが、そのあたりは遵守しているのが英国人らしいところ。とはいえ、こんな買い物は飛行機では大変で、特に酒は空港まで運ぶのも、割れる心配をしながら預け荷物にするのも(重量制限もある)、また空港から家までも、大変なことばかりだ。延々と乗り続けてもバスツアーが愛される理由はこんなところにもあるらしい。「クリスマス・ショッパーズ」とは「クリスマス・マーケットに行くこと」だけではなく、「クリスマスに向けて酒やタバコを安く買い込むこと」あるいは「酒やタバコを安く買えることをエサに妻が夫をクリスマス・マーケットの買い物に引っ張り出すこと」を意味するのだ、とイヤでも知った。いや、実益を伴って楽しく知った。(笑)


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コメント 2

SHIN

家内に読ませたら、間違いなく翌日の便で
ドイツに飛びますね、これ。

うん、
はやり老後はドイツだわ。
日独社会保障協定があって、ドイツでも年金が
もらえるもんね~♪
日本で年金払う行為に対して、すこしだけ
モチベーションが回復するわ。

今日もせっせと働こう~っと。
by SHIN (2005-12-14 07:09) 

KDN

お酒の種類が多彩でそれなりに安いのは日本ですが
欧州は各国でどれかに特化して安いですね。
英国では老後を暮らすためにスペインやら東南アジアに脱出する金持ちも多いのですが(笑)物価も高すぎますしね。

大体、年金なんてちゃんともらえるのかしらん?
by KDN (2005-12-19 20:16) 

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