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York [英国内旅行]

10月15~16日(土・日) 曇り~晴れ
 一泊でYorkへ行ってきた。イングランド中東部を代表する歴史的な街で、「ヨークの歴史はイングランドの歴史」とまで言われる。D.は1999年に半日滞在していて、また親友の一人が留学していたこともあり印象深い街だが、Tamaは初めて。Newcastleからは本線の列車で40分くらいで着く。


 何はなくともまずヨークミンスターYork Minster。カンタベリーと並んで英国を代表する大聖堂で、ゴシック建築としては英国最大である。ローマ人やノルマン人の建築が元にあるが、現在の建築は13世紀初頭から1472年にかけて完成したもので、その後現代にも地下の補強工事や1984年の落雷による火災(!)を乗り越えて現存。この写真は塔の上から撮影した双塔Twin Tower。


 世界最大のステンドグラス、Great North Window。


 そしてこちらが世界最古のステンドグラス、Five Sisters。13世紀のもの。堂内だけでなく地下室にも建築の歴史や宝物が展示されていて、何時間あっても足りないくらい面白い。


 街を城壁が囲っていて、今も歩いて回ることが出来る。これはMinsterに一番近いゲート、Monk Bar。「坊主入場門」とでも言おうか(笑)。しかしその名前の由来は不明で、後には牢屋として使われたりもしたらしい。


 城壁の上からMinsterの庭を眺めていて見つけたリスSquirrel。これ、未だにどう発音するのが正しいのか分からない。


 街の南端にある13世紀のヨーク城の遺跡、クリフォード・タワーClifford's Tower。この辺りは20世紀初頭には牢屋とスラム街だったらしいが、もちろん今は整備されてその面影はない。街も観光客に優しく、適度に整備されていて安心である(といっても城外には窓ガラスの割られている店や、バイクにブチ切れて急発進で追い掛け回している車とかも見かけたので日本ほどではないが)。


 その牢屋はいま博物館York Castle Museumになっていて、中世の終りから近代までのヨークシャーの生活をこと細かに展示している。全てゆっくり見るには1日かかってしまうが、ここのチケットは嬉しいことに1年間有効なので何度でも来られる。この写真は車と馬車だが、他にもありとあらゆる生活用品が実に良く考察されて並べられていて、

 「ゆりかごから墓場まで」という展示ではなんと1900年ごろの助産婦の用具まで展示されている。上から分娩鉗子、ゾンデ、キュレット、胎盤鉗子で、いま使われているものとほとんど変わらない!


 さて、宿泊は安いところを求めすぎて間違えてしまい、全然違うところにある街Howdenに宿を取ってしまった。Yorkから英国最悪の住環境と言われる東海岸の街Hullへの途中にあり、しかも鉄道の駅から1.5マイルも離れていて真っ暗ななか歩くのが大変だった。挙句日曜日は列車もバスもタクシーも無くて(!)地元の新聞記者の兄ちゃんの車に便乗させてもらってLeedsまでたどり着く始末。かつては街道の宿場町として栄えたが今は小さな田舎町。でもEnglish Heritageである歴史的で不釣合いなくらいに素晴らしい大聖堂Howden Minster(写真)があって、なかなか興味深い街。宿はいかにも英国的なパブの2階のぼろ宿だったが(でも美味しい朝食つきで一人20ポンドだ!)、人々も親切で、食事も地元のビターも美味しかった!


 Yorkに戻って観光。ここはShamblesといって、適当な訳がないが肉屋横丁とでも言うべき素敵な通り。1階より2階、3階の方がせり出していて、ここに肉を吊るして売っていたという。今はアンティークショップやティールームになっているが、これがまたセンスがあっていい。先斗町とか奈良町を思い出す。


 前にも書いたことがあるが、スーパーで手に入る中では英国で一番おいしいと多くの人が言う紅茶、Taylors of Harrogate(スーパーで買えるのはYorkshire Tea)を発売している有名なティールームBetty's。その名の通りそんなに遠くはないハロゲイトに本店(と料理教室!買い物だけなら通信販売もあり)があるが、ヨークの支店は街のど真ん中の広場に面していていつも大行列。開店時間早めに行って紅茶とケーキとスコーンを楽しむ。めちゃくちゃ美味しい!Breakfast Teaは甘み・旨み・渋み・苦味・香りが全て完璧にバランスが取れているし、Earl Grayはベルガモットの香りに葉っぱの味が決して負けることなく主張している。帰りにショップでティーバッグを多数購入してしまった(Loose Leafじゃないのは許してね)。といっても、この世界最高のお茶が50個入りで500円くらいなので全然高くはない。余談だが、後ほど行くFairfax houseで、昔のお茶入れの木箱には必ず鍵がついていることを教えられた。貴重品であったからだという。


 Merchant Adventurer's Hallという長ったらしい名前がついているが、14世紀のギルドホールで、中世の面影を最も良く残す建物とされる。結婚式などにも使われるらしい。が、10月から4月は日曜休館のため入れず。ちっ。


 フェアファックス邸Fairfax house。フェアファックスは1700年代の大地主で冬は城内のこの家、夏はカントリー・ハウス(といってもお城)に暮らしたというが、カソリックのために重税に苦しむなどしたらしい。その後家系は断絶し、持ち主を転々として現在はYork City Trust、つまり市民ボランティアにより管理されている。内部のジョージ朝装飾の数々はとてもゴージャスだが、それだけならこの国では他の展示でもたまに見かける。ここが素晴らしいのは市民ボランティアの説明。親切でおしゃべり好きな爺ちゃんやおばちゃんが各部屋に居て分かりやすく、楽しく説明をしてくれる。英語が少しでも分かる人間でよかったとつくづく思い、フランス語やスペイン語やドイツ語もしゃべれたらもっといいのに…なんて思ってしまう。


 本当は駅の裏にひろがる世界最大の国立鉄道博物館National Railway Museumにも行きたかったのだが、時間が無くて断念。また改めて来ることを誓いつつ、代わりに0キロポストの前で撮影。英国の歴史の中枢ともなってきたヨークシャーの鉄道の起点である。

 ローストビーフやローストポーク、Fish&Chipsなど、シンプルで野菜の少ない典型的な英国料理。限りなく英国的なBitterやAleたち。でもそれらが何故か美味しいのがこの街。街並みは古く、観光客を多く迎えてくれるが、決してテーマパークではなく、城内や周辺に住む人々の生活もきちんと機能している、生ける歴史的な街。そんなYorkの印象は今回も変わることはなく、初めて訪れたTamaも随分と気に入ったようだ。ロンドンよりも英国らしい、英国を代表する街York。また行こう。


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みずほ。

こんにちは。初めまして。
みずほ。と申します。
先輩のmayuさんからこのHPを聞き、ブログを見ました。
私もちょうど5年前、学生時代に、夏2ヶ月程、イギリスへ留学しておりました☆
イギリス大好きです。
York。私も行きました!!
歩いた街並みがすっごく懐かしかったです!!
また遊びに来ます。よろしくどうぞ。
by みずほ。 (2005-10-25 12:55) 

KDN

いらっしゃいませ。mayuさんの某高校時代の後輩かな?
Yorkを歩いていると本当に「イギリス大好き!」って気分になりますよね。
住んでいると苦労もありますが…
またお越し下さい。
by KDN (2005-10-25 17:51) 

どらとら

おぉ〜、ヨークに行かれましたか。Betty'sはヨークに支店があったとは知りませんでした。
ヨーク、こぎれいな観光都市、という感じですよね。「先斗町とか奈良町」という例えが笑ってしまいました。さすが関西人。
Tamaさんもさぞや楽しまれたことでしょう。TamaさんやファンキーなKDNさんの写った写真も出て来てとってもナイス!
しかし、宿泊£20は激安でっせ、だんな(笑)。
by どらとら (2005-10-30 08:40) 

KDN

£20のいきさつは妻も書いてくれているのでトラックバックをご覧下さい(笑)。
Yorkは全くその通りなんですが、テーマパーク化していない「生きている」都市であるところが最大の長所でしょう。
かつて日本人がよく行く「ロ○ンチック街道の宝石」と呼ばれるドイツの某街が完全にハリボテ的で嫌悪感に駆られた経験があって、その時その後にYorkに初めて行ったものでその印象が強いのです。
ちなみにBetty'sの支店はHarrogateに本店とHarrow Carr Gardenの支店、Yorkのこの支店と"Little Betty's"なる支店(古い通りの古い建物で、にせものかと思ってました:笑)、その他内陸に向かう鉄道沿いのIlkleyとNorthallertonにお店があると書いてあります。Harrogateの街も行ってみたいものです。
by KDN (2005-10-31 05:06) 

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