コート・ダジュール(2) ニース・カンヌ・グラース

4月1日（土）～4月5日（水）
　ニースではバスターミナル近くのテレビもない安宿に宿泊。エズとの落差に笑ってしまうが、宿の親父は親切で、部屋も清潔だったしパンとコーヒーだけの朝食も楽しめた。治安も思ったほどは悪くない（駅の周辺は良い雰囲気ではなかったが）。
　ニースの街は慣れると分かりやすい造り。移民が多く治安の良くなさそうな駅周辺にはあまり行かないようにする。フランスらしさ、地中海沿いらしさのぷんぷんする旧市街や、地中海を満喫できるプロムナード・デサングレは観光客で一杯。しかし海沿いでは地元の人が老いも若きもなぜかインラインスケートを楽しんでいた。

　第１日曜はこの地域の博物館・美術館が全て無料の日なので、マティス美術館、シャガール美術館とニース美術館を満喫してパリのカルト＝ミュゼがストライキのせいでぼったくられた恨みを取り返す（笑）。マティスはD.の、シャガールはTamaの好みである。マティスの海好き、シャガールの青だけでなく赤の使い方の鮮烈さは特に印象的だった。ロシア正教の教会であるサン・ニコラ大聖堂はあまり治安の良くなさそうな一画にあったが、ロシア正教の豪奢などぎつい派手好みがよく分かって笑ってしまった。ちょこっと立ち寄ったお菓子屋のケーキを歩きながらかじったり、疲れたらカフェでパスティス、と、なんとも休暇らしい休暇。

マティス美術館。窓は本物と偽物があります(笑)。

シャガール美術館。

　1.30ユーロのバスをフル活用してコート・ダジュールを回る。グラースは内陸にある香水の街。香水工場で自分専用香水の調合体験。日本語を含む各国語を話せる担当のおばちゃんに笑わせてもらいながら大いに楽しむが、できあがった香水は…オッサンのヘアトニックみたいなニオイになってしまった。残念。なお、グラースの街は工業都市のためか、特に住宅の地域などで今回の旅行の中では最も治安の悪そうな感じだったことを付け加えておく。危害を加えられたワケではないが。

　カンヌは行くだけ行ったが時間があまり無かったのと、何処かのテレビ局のフェスティバルがあってやたらと人がゴチャゴチャ集まっていたので長居をせず有名俳優の手形の写真だけを撮って帰ってきた。グラース～カンヌのバスが大混雑で立ち通しで疲れていたのもあるが（市民の足のため、こういうことはよくあるようだ）。

　食事だが、ニースでは宿の親父に紹介してもらった旧市街の小さなビストロに続けて通ってしまった。一晩目に食した魚のスープsoupe d'poissonがあまりにも美味しすぎたからだ。他のメニューにはそれなりに当たりも外れもあったが、観光客料理に堕したブイヤベースはメニューになく、このスープが美味しいという点で全て許せる。ニンニクとチーズを載せたパンを食べ過ぎておなかの調子が悪くなってしまったほど。デザートも含めた３品で2000円前後で満腹になるこの南仏のビストロの素晴らしさよ。ちなみにハウスワインも500mlのカラフェでたった3ユーロ(450円)だ。日本でも見習ってくれる店がないかなぁ。定休日に当たってしまった日は近くのスーパーでワインやらパンやらチーズやらアンチョビやらイクラ(!)やらを買い込んで部屋で食したが、これも素晴らしかった。日本人を黄色いアリなどと称する阿呆には死んでもらいたいが、英国人を食を知らない国民と愚弄する気持ちは何となく理解できてしまう。それくらい、食の文化が重視されているのであろう。

お店の名前はTaca d'oriといって、旧市街の中にあります。辛うじて英語メニューあり。

魚のスープ。ニンニクとチーズを載せたパンを浮かべて食す。

ニース風サラダ。新鮮な野菜には不自由しない土地。ああ、うらやましい(苦笑)

　帰りはニース／コート・ダジュール空港からの便だったが、朝のプロムナード・デサングレは路上駐車のせいもあって大渋滞。すいていれば20分で着く距離なのだが、1時間20分もかかってしまった。余裕を持って出たのでよかったが、朝の便に乗られる方はくれぐれもご注意。最後のこの便は格安のEasyJet。一人3000円前後の激安便だが、機内食もドリンクも有料で自由席であるということ以外は何ら不自由なし。地中海沿いから北イングランド、いわばヨーロッパの北の端のニューカッスルまで２時間とちょっとしかかからない（しかもこの値段）のだから、ヨーロッパ人が休暇をほいほいと取りたくなる気持ちも分かる。日本に居てはどうあがいても無理なところだ。